大阪大学准教授の古谷大輔氏は、日本の北欧関係者の間では、最もインターネットを使いこなしていることで有名です。そして、氏は音楽やグルメを愛好していることでも知られているのですが、この度大変興味深いイベントを開催されます。
私はかつて怪奇小説を愛読していたのですが、そのきっかけとなったのが、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」でした。この小説の舞台は、ご存じの通り、ルーマニアのトランシルバニアです。そして、小説の冒頭で、なんとエキゾチックなパプリカ料理が登場するのです。
少々長いのですが、引用します(手元に日本語訳がないので原文から)。
We left in pretty good time, and came after nightfall to Klausenburgh. (中略)I had for dinner, or rather supper, a chicken done up some way with red pepper, which was very good but thirsty. (Mem. get recipe for Mina.) I asked the waiter, and he said it was called "paprika hendl," and that, as it was a national dish, (後略)
なお、Minaというのは、主人公Jonathan Harker氏の妻の名前です。
彼が妻にレシピを持ちかえるほど美味しいチキン料理「パプリカ・ヘンデル」とは、いったいどのようなものなのか、当時の私には知る方法がありませんでした。
そして、ソレラの会の案内を拝見するまではずっと忘れていたのですが、現代ならGoogleで検索すればすぐにわかりますね。日本語のレシピもありました。
さっそく、週末にでも作ってみたいと思います。
詳しくは、イベント情報をご覧ください。
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古谷大輔 (木曜日, 12 4月 2012 03:16)
大阪より古谷です。普段は大阪大学で北欧史を講じております。この度はソレラの会をご紹介頂き、ありがとうございます。この会は、大阪の町中の酒場に集う仲間たちと、世界の酒や食といった切り口から世界の様々な地域をざっくばらんに語り合っている会です。その名前は、スペイン・ヘレスの地酒であるシェリーが熟成されるときに貯蔵樽を積み上げる“ソレラ・システム”に由来しています。酒場は酒を嗜むだけでもとても楽しい時間を提供してくれる空間ですが、今から200〜300年ほど前のヨーロッパでは酒場で語られた議論が新しい時代をつくりあげる原動力になったとも言われています。シェリー酒の芳醇な味を育む“ソレラ・システム”のように、一つ一つは小さな教養も少しづつ蓄積され、酒場に集う仲間との対話のなかで熟成されていけば、人生を豊かにするだろう…ということで、酒場がつくりあげる「語らい」の力に共感する町中の人たちと一緒に楽しくやっています。恥ずかしながら、この会ではまだ北欧についてとりあげたことはありません。いずれその機が熟したときに、みなさんにご紹介できればと思います。
北川義人(北欧文化協会) (木曜日, 12 4月 2012 18:19)
シェリーの醸造システムに由来する名称ですか。いかにも楽しげですね。そういえば、アクアビットのLineaは、シェリー樽に入れて、舟で地球を一周(赤道を二回越え)ますね。と、北欧に戻したところで、今後北欧の話題も取り上げていただくと確信して、ご紹介いたしました。